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2017.08.28

未分類(和光舎ブログ)

栴檀(せんだん)の木を見て想ふこと

少し前ですが、福井県へ伺った際に、立派な栴檀の木をお見掛けしました。

その時に思い出したのが『百年目』という上方の噺。

 

その内容は・・・

 

普段は真面目な番頭が、花見の季節に仕事を抜け出し

羽目を外して旦那にお叱りを受けるというもの。

 

ものすごく端折っております。

 

そのお叱りの内容が非常に考えさせられるものなんです。

 

『番頭よ、旦那という言葉の成り立ちを知ってるか?』

 

旦那もお寺のご法談で聞いたという内容。

インドがまだ天竺と呼ばれていた頃の南天竺でのお話。

それは見事な赤栴(しゃくせんだん)があったのですが、その根元に難莚草(なんえんそう)という見苦しい雑草が生い茂っていました。

このままでは、この立派な赤栴檀が台無しだということで、難莚草を取ってしまったところ、赤栴檀が枯れてしまった。

原因は難莚草を取ったこと。

この、一見見苦しい雑草が、生えては枯れ・生えては枯れを繰り返すのが、赤栴檀にとっては欠かせない肥しになり、また赤栴檀が下す露が難莚草にとって欠かせない肥しになっていたのです。

つまり、赤栴檀が育ち露を下す→難莚草が育って肥やしになる→さらに赤栴檀が育ち露を下す→さらに難莚草が育って肥やしになる

これが檀家と寺方の関係でもあり、赤栴檀の「だん」と難莚草の「なん」を取って一家の主を『だんな』と呼ぶようになったと、、、

この関係は商家も同じ

旦那が『赤栴檀』、番頭が『難莚草』

また見方を変えると

番頭が『赤栴檀』、丁稚・奉公人が『難莚草』

人は立場や状況により『赤栴檀』にもなり『難莚草』にもなる。

この教えは現代社会にも通じるのではないでしょうか。

江戸時代の商家は今で言うところの企業。

さしずめ企業の経営者が『赤栴檀』、従業員が『難莚草』。

また、上司が『赤栴檀』、部下が『難莚草』

また、請負元が『赤栴檀』、請負先が『難莚草』

また、『お店』と『顧客』に関しても同じようなことが言えるでしょうね。

自身の都合だけを考えて、相手のことを考えないとその行動が自身に返ってくる。

いい時は『おかげさま』、よくない時は『お互い様』

お互いに尊重し合うことで、良好な人間関係が築けるのかもしれませんね。

まだまだ精進が必要なのを痛感致しました。

この上方落語『百年目』が気になる方は、人間国宝:故桂米朝氏で調べてみてください。

 

※旦那の語源はサンスクリット語の「ダーナ(布施・施し)」とされております。

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