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2015.07.13

未分類(刺繍職人日記)

三つ牡丹 打敷

おはようございます!明日から宵宵山、いよいよ祇園祭ですね。
台風直撃という噂ですが、今日の京都はとてもいいお天気で暑すぎるくらいです。
熱中症などに気をつけてお過ごしくださいね。
さて、昨日完成した三つ牡丹のご報告です!

こちらは修復前の状態。この見事な牡丹の載せ替えをやりました。
右上のピンク色の牡丹の傷み、金糸が外れている部分が目立ちます。
20150713-4.jpg
部分の修復中。載せ替え作業中のピンクの牡丹の葉っぱ部分です。
今回は全体の牡丹の葉の半分くらいがこのように金糸がとれてしまっていました。
とれてしまっていた葉っぱの緑の部分や、摩耗してなくなっていた葉先は新たに縫い付けていきます。
20150713-5.jpg
こちらが修復後。
部分部分がこのようにひとつずつきれいになっていくのがとても嬉しいです。
20150713-7.jpg
こちらが全体の完成。台地のサイズ変更があり、少しだけ大きくなっているので牡丹同士の間隔を少しあけています。
三つある牡丹の花弁部分をすべて平糸で新たに綴じているのですが、三つの牡丹のそれぞれを、もとの平糸の糸色に合わせた、微妙に色の違う淡い淡い金色の平糸を使用しています。また、ピンク牡丹のそばにある蕾は桃色がかった金色を使っています。
よくよく見ると元の刺繍も蕾だけに桃色がかった色の平糸が使われており、本物の牡丹も蕾の方が少し色が濃く感じられるように、それを再現しているんだなあと歓心してしまいました。
離れてみるとほとんどわからないくらいの色合いです。
20150713-3.jpg
20150713-1.jpg
20150713-2.jpg
ななめからの写真で申し訳ないですが完成した牡丹のアップです。
青い牡丹は色が落ちてしまっているのだと思いますが、とても淡くなった青や紫がむしろ経年を感じさせてくれます。逆にピンクは今なお鮮やかな色をしており、一枚の中にいろんな時間を感じられます。
平糸をきれいに綴じるのが存外難しく、だけどその中でも花弁のやわらかさなどがきちんと出るように注意して刺しました。ふっくり盛り上がった花弁がとても気に入っています。
1436832859021 (1).jpg
おまけ。
アップでみると、花弁に厚みがあるのがわかります。
いろいろな角度で見ると平糸の輝きが色合いを変えて見せ、とても美しいですね。
この光り具合に刺す時に泣かされたんですが、それに負けずに頑張った分、きれいになった花弁を見やると感動もひとしおでした。

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