トップ

お知らせ

お知らせ

2017.11.22

未分類(刺繍職人日記)

【鳳凰の羽先】

弊社の工房でお預かりする打敷のデザインは、当時の職人さんや各工房により様々です。

描かれているモチーフは同じであるのにそれぞれが個性的で、
しかしながら「そのモチーフである」という枠からはみ出さず何であるかが、
ちゃんと分かると言うのは当たり前のようでいてすごい事、不思議な事なのではないか…
と、沢山の打敷を拝見していて思うようになりました。

以下ずらりと並べましたが、全て鳳凰の羽先です。

鳳凰は頭が鶏、頸は蛇、などと体の各部位を様々な別の動物に例えて言い伝えられていたようで、
その動物も時代や地域によって違いがございます。
尾は孔雀とも魚とも言われており、個人的には魚の尾ヒレから孔雀の羽が垂れているような
デザインが多く見受けられます。孔雀の様な羽先部分を見てみましょう。




鳳凰一羽の中でそれぞれ羽のデザインをかえています。
白い縁取りの方はデフォルメしているのでしょうか、角をつけています。

 



紙の軸を土台にして、金糸に凹凸をつけています。

 



滑らかな表現です。胴体部分から鳳凰であると判断しましたが、
浄土の六鳥の一つビャッコウを描いている可能性もあります。

 



産毛があり、角のないデザインです。

 



羽先の丸い部分が個性的です。白い糸は楽器の弦のように張ってあるような状態です。

 

架空の存在である為、定義をするのが難しく、何をモデルにしたのか等もはっきりしない所が
デザインの自由度に繋がっているのかなとおもいます。



最後に一枚。
黒留袖の松の模様なのですが、沢山の羽をご覧頂いた後だと羽のように見えませんか。
表現や認識の個人差、不思議でとても面白いと感じました。

皆さまがお手持ちの打敷や、お着物もよく見ると面白いデザインのものが見つかるかもしれません。
今一度ご覧頂き、奥深さを味わって貰えればと思います。

 

一覧に戻る

和光舎本社

京都刺繍修復工房 三条工房