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お知らせ

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2017.09.21

未分類(刺繍職人日記)

【時が育んだ鳳凰】

水引の修理を承りました。
中央の余白部分に逆三角形の打敷を上から重ねて使用します。
打敷が重なり、隠れてしまう部分の刺繍が省略されていましたので、
新しく刺し足す提案をさせていただきました。





色味が個性的な鳳凰です。
長く大切に使われていたのでしょう、日焼けによる退色も見られますが、
かえって色が落ち着いて洒脱な雰囲気を醸し出してると感じました。
ものが古くなり味が出てくることを「育つ」と表現することがありますが、
この鳳凰もそんな風に言いたくなります。

「時間の経過がなければ得られなかったかもしれない美しさ」を愉しむ。
古いものを修復して永く使用することの醍醐味かもしれません。
全体に馴染むように、色に気を付けながら新たな部分を刺し足していきました。



翼の糸が薄くなってしまっているところは、古い糸を取り除いて刺し直しました。
黒や焦げ茶色の糸は劣化が早いため目の周りの糸も弱っており、
すぐに剥がれ落ちてしまったので刺し直しました。慈愛に満ちた眼差しに仕上がったでしょうか…
その他、金糸の切れ、ほつれなども修理しました。

これからも美しさを重ねていけるように、経年に耐えうる修理・修復の技術を高めてまいります。

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