【白鳳凰】

季候が安定しない中、梅雨の気配を色濃く感じる京都です

雨が降ると 確かにジメッとして足元悪く衣服も濡れるしで お出かけが億劫になったりもしますが、
雨の美しさもまた真実である事を忘れずにいようと思います。

草木は生気を帯びて、農耕にとっては恵みの雨である事は言うまでもありません。

今回は白い鳳凰の打敷をご紹介します
一見アイボリー単色に見えますが、実は繊細なグラデーションが施されて気品溢れる鳳凰で、
中でも尾羽の形は大変珍しいデザインになっています。
初めて拝見した際 職人達は“先端はクリオネみたい”だとか“モスラ感がある”など
自由に感想を述べ合いましたが、修復時期が丁度 晩冬から初春だった事もあり、
可愛らしいネコヤナギの枝を連想しながら修復にあたる事としました。

ネコヤナギ というと 日本的なイメージがありますが、ヨーロッパなどの春の復活祭では
イースターエッグを飾る枝として欠かせない物である事はあまり知られていないように思います。
(日本で言うところの七夕の笹のような存在でしょうか )

春先一番に芽吹き、たくさんの花穂を付けることから縁起が良い植物とされています。


さて修復です
全体に溶けたロウが染み込んでいます。
丁寧に取り除き、上から新しく平糸をかけていきます。

色味を合わせた新しい台地に載せ、周囲は作られた当初の手法と同様の方法で刺し留めていきます。
時間当たり数センチしか進めない 根気の要る修復です。

毛羽だった平糸部分にも上から新しい糸をかけます。
収納時についてしまった強い折り目も直りました。

品の良い白の中の 数少ない色味ですが、
頬部分のまるで本物のチークを刷毛でぼかしたかの様な糸の表現には、先人の技術に脱帽です。

このように当工房では 大切に使われてきた一品一品にじっくり向き合い、学び、
時には復元不可能かと思われるような損傷の品にも新たに命を吹き込むような心持ちで
少しでも作られた当初の姿を再現することを目指しております。

 

もしもお手持ちの品に 心掛かりな物がございましたら是非当社へご一報頂ければ幸いです。

よろしくお願い申し上げます。